歴史的なイギリスの階級制度
イギリスの階級制度の歴史は、産業革命後の18世紀後半に始まりました。政治が安定した結果、貴族が議会を支配している権力者として占めていたことが始まりです。第二次世界大戦後の20世紀後半の階級社会は、上流階・中流階級・労働階級・下層階級に分けられます。
- The Upper Class(上流階級)
- The Middle Class(中流階級)
- The Upper Middle Class(上層中流階級)
- The Middle Middle Class(中層中流階級)
- The Lower Middle Class(下層中流階級)
- The Working Class(労働階級)
- The Skilled Working Class(熟練労働者階級)
- The Unskilled Working Class(未熟な労働者階級)
- The Underclass(下層階級)
世襲で階級が決まる上流階級は、他の階級とははっきりと別れています。昔ながらの貴族や地主が上流階級にあたります。
中流階級は大学を卒業し、主な職業は医師や弁護士や、経営者などです。
熟練労働階級は、建築業や製造業の見習い経験がある人々です。未熟な労働階級の人々は、ウェストミッドランド地方、イングランドの北部、ウェールズ南部、ローランド地方などの工業都市に多いです。
下層階級は慢性的に失業している人々です。
階級による差別はある?
階級ごとに性格や価値観が異なります。上流階級の人々は労働階級の人を見下すことはなく、上に立つ人間として「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」と呼ばれる、社会的責任をまっとうしようとします。
中流階級がもっとも人口が多く、向上心が強い傾向にあります。
労働者階級の人々は、上流階級の人々は子供の頃から厳しくしつけられ、大人になっても社会的責任が重く、働かなければならないので、上の階級の人を羨ましいとは思わないようです。向上心がなく努力を好まない性格の人が多いようです。
イギリス人の会話の中では、階級を揶揄するようなブラックユーモアを頻繁に聞きますが、どの階級からしても’自分の階級が1番’といったニュアンスのことが多いです。日本人からするとハラハラしてしまいますが、階級や生活が違うことを、イギリス人らしく表現しているだけのようです。
それぞれ自分の階級に誇りを持っています。 有名な話では、サッカー選手のベッカムは労働階級の出身ですが、労働階級の話し方を貫いています。階級が違うことにそれぞれ満足しているので、イギリス人の階級意識はなくなりません。
階級で異なること
階級で違う話し方
イギリス英語に興味のある人、アメリカ英語とぜんぜん違うので嫌いという人、どちらもいると思います。イギリスでは、階級によってアクセントが違うことが有名です。「イギリス英語」と称される特徴的な発音は、上流・中流階級の人々が話す「RPアクセント」と呼ばれています。「RPアクセント」は他にも「モダンRP」、「スタンダード・イングリッシュ」、「オックスフォード・イングリッシュ」、「ポッシュアクセント」とも呼ばれています。イギリスのニュースBBCでも使われていることから、「BBCイングリッシュ」とも呼びます。
一方、労働階級の英語は「コックニー」と呼ばれています。イギリスで同じ土地に住んでいても、RPアクセントとはまったく異なる英語です。その他にも、趣味や服装、愛読している新聞、利用するスーパーマーケットまで違います。
階級で異なる職業
上流階級(Elite)
上流階級(Elite)と呼ばれる人たちは、代々の貴族で、「公爵」、「候爵」、「伯爵」、「子爵」、「男爵」などの称号を持つ人たちのことを指します。また、大地主なども上流階級に属し、超大金持ちです。
現在のGBCS分類でも、上流階級(Elite)の職業は、CEO(会社経営者)、や大学教授、医師、歯科医師、裁判官、弁護士などの職業に就きます。
階級社会がわかるイギリスの映画
上流階級
- プライドと偏見(原題:Pride & Prejudice)
- つぐない(原題:Atonement)
- ライオット・クラブ(原題:The Riot Club)
中流階級
- ハワーズ・エンド(原題:Howards End)
- 眺めのいい部屋(原題:A Room with a View)
- ブリジットジョーンズの日記(原題:)
労働階級
- リトル・ダンサー(原題:Billy Elliot)
- ケス(原題:Kes)
- フーリガン(原題:Green Street)
階級を超えたドラマ
- マイ・フェア・レディー(原題:My Fair Lady)
- ラブ・アクチュアリー(原題:Love Actually)
- 大いなる遺産(原題:GREAT EXPECTATIONS)
イギリス映画やドラマを観てイギリス文化を勉強しています。階級制度に見られるような’貧困層’が題材になったら、”スラム出身で努力や出会いに恵まれて億万長者になる!”というようなアメリカンドリームがアメリカの十八番ですが、イギリス映画ではアメリカ映画のようにサクセスストーリーやシンデレラストーリーは少ないように思います。
昔のイギリス映画ではハッピーエンドではない作品が多く感傷が続きますが、イギリス社会では階級の優劣がなく、それぞれが自分の階級に満足していたり、他の階級は別世界という感覚の現れなのではないかと思います。