イギリス英語とは

アメリカ英語に対して、イギリスで使われている英語のことをイギリス英語やブリティッシュ英語と呼ばれているのを耳にしますよね。「イギリス英語」を聞くと、”エリザベス女王が話すような格式高い英語”という印象です。

イギリス英語は

  • アイルランド
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • マルタ
  • シンガポール
  • マレーシア
  • 香港
  • 南アフリカ共和国
など、元イギリス植民地の国で使われています。また、ヨーロッパ各国、アフリカ大陸の国とカナダの一部では、イギリス英語が主流です。一方、南北アメリカ大陸、東アジア、ロシアなどではアメリカ英語が主流です。

イギリス英語の代名詞「クイーンズ・イングリッシュ」とは

イギリスでは、階級によっても話し方が違います。階級別に話すイギリス英語を分類すると、

  • アッパーRP
  • モダンRP
  • Estuary English
  • コックニー
などがあります。

一般的に、イギリス英語、ブリティッシュ・イングリッシュ」と呼ばれる英語は、「RP(Received Pronunciation: 容認発音)」と呼ばれます。「RP」は上流・中流階級の人々を中心に使われています。

  • モダンRP
  • スタンダードイングリッシュ
  • オックスフォード イングリッシュ
  • クイーンズイングリッシュ
  • BBCイングリッシュ
  • ポッシュアクセント
など様々な呼び方があります。

RPでは、スラングや方言を使いません。RPを話すことで、その人がどこの出身かはわかりませんが、学識があるかどうかのバックグラウンドがわかります。

しかし、現在ではイギリスの人口の2%程度の人しかRPを話していません。エリザベス女王の発音も時代とともに変わり、現在ではより中流階級化してきています。

RPの歴史

17世紀以前までは、王室が話す英語として「キングズ・イングリッシュ」や「クイーンズ・イングリッシュ」と呼ばれ、人々の憧れの英語でした。RPを話すのにアクセントは特に重要ではなかったので、様々なアクセントを持つ人々が‟The King’s English”を話すことができたのです。
最終的に「キングズ・イングリッシュ」は正式なイギリスの標準英語として使われるようになりました。この英語は、正しい文法、言葉、そして表現の使い方を特徴としています。

19世紀以前までは、政治家など社会的地位が高い人々を中心にRPが使われていたため、RPを話すことは「富と権力」を象徴していました。

20世紀に入り、産業革命、第二次世界大戦が終わると、ラジオやテレビのアナウンサーはこのRPで英語を話していたため、「BBCイングリッシュ」とも呼ばれるようになりました。さらに、オックスブリッジ大学で広く使われたため、RPは学歴などのバックグラウンドを象徴し、良い職に就くためには、RPを習得する必要がありました。

RPの発音の特徴

RPの特徴として、子音の発音が異なる、「R,T」の母音の発音が異なることが挙げられます。また、RPの発音はアメリカ英語と比べると、柔らかく、シリアスに発音する特徴があります。

「A」の発音

RPでは

アメリカ英語では、「A」の発音は「アとエの間’æ’」の発音になります。モダンRPでは、「ア」に近い音で発音するため、日本人には馴染みやすい音です。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
Ask /æsk/ エァスク /ɑːsk/ アスク
Class /klæs/ クラェス /klɑːs/ クラァス
Task /tɑːsk/ タェスク /tæsk/ タァスク
Tomato /təˈmeɪtəʊ/ トマェト /təˈmɑːtəʊ/ トマァト

アッパーRPでは、’/æ/’の発音は「エ’/e/’」の音になります。

単語 アッパーRP
Cat ケット
Harry ヘリー
Carry ケリー
Hand ヘンド
Man メン
Can ケン

「O」の発音

モダンRPでは「O」はカタカナの「オ」に近い発音になります。アメリカ英語では「アとオの間」のような音になります。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
Hot /hɑːt/ ハァット /hɒt/ ホッツ
Stop /stɑːp/ スタァップ /stɒp/ ストップ
Not /nɑːt/ ナァットゥ /nɒt/ ノット
Popcorn /ˈpɑːpkɔːrn/ パァップコーン /ˈpɒpkɔːn/ ポップコーン

さらに、アッパーRPでは「オー’/əʊ/’」の発音は「ウァー’ɜː’」となります。

  • Go
  • No
  • Show
  • など

「R」の発音

モダンRPでは、「R」を発音しない「ノン・ロウティック・アクセント(Non-Rhotic Accent)」で発音します。また、アメリカ英語のように舌を巻きません。「R」が①子音の前にある場合、②単語の末にある場合には「R」を発音しません。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
Hard hɑːrd/ ハァーゥド /hɑːd/ ハァード
Air /er/ エアゥ /eə(r)/ エァ
Horror /ˈhɔːrər/ ホルァゥ /ˈhɒrə(r)/ ホラァ
Mirror /ˈmɪrər/ ミラァゥ /ˈmɪrə(r)/ ミラァ

ただし、「R」の後に母音「a,e,o,i」が続く場合は、「R」を発音します。

  • Red
  • Roof
  • Professional
  • など

「T」の発音

モダンRPの発音では、「T」をはっきりと発音します。アメリカ英語では「T」の発音がソフトになり、ラ行のような音になります。一方、モダンRPでは「Absolutely」、「United States」の最後の「T」の後ろを発音しないか、弱くなります。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
Water /ˈwɔːtər/ ウォラァー /ˈwɔːtə(r)/ ウォタ
Better /ˈbetə(r)/ ベラァー /ˈbetər/ ベタ
Absolutely /ˈæbsəluːtli/ アブソルラリー /ˈæbsəluːtli/ アブソルトリ

他にも、「Z」は、アメリカでは「ゼット」、イギリスでは「ズィー」と呼びます。

「I」の発音

「プリティー」、「ベリー」などモダンRPでは語尾を伸ばす「/I:/の発音ですが、アッパーRPでは「I」となり伸ばさずに発音します。

単語 モダンRP アッパーRP
Pretty プリティー プリテ(ィ)
Party パーティー パーテ(ィ)
Really リアリー リアレ
Very ベリー ベレ

子音が3つ以上続く発音

アッパーRPでは、「/aʊə/」、「/aɪə/」、「/eɪə/」のように子音が3つ以上続く場合には、はっきりと発音しません。

発音 単語 アッパーRP
/aʊə/ Power パー
Shower シャー
/aɪə/ Fire ファー
Quiet クァー
Empire エンパァー
/eɪə/ Layer レィァ
Mayonnaise マィヨナァー
Players プレァー

イギリス英語の勉強のしかた

単語の発音については、Oxford DictionaryCambridge Dictionaryでイギリス英語とアメリカ英語の発音を確認することができます。

おすすめの記事